脂質異常症(ししついじょうしょう)って?放っておけない“血液のコレステロールバランス”のお話

おくすり

「悪玉コレステロールが高いって言われたけど、どうすればいいの?」そんな疑問を感じたことはありませんか?

脂質異常症(ししついじょうしょう)は、自覚症状がないうちに進行する“沈黙の病気”。

でも、きちんと対策すれば、未来の病気を防げるかもしれません。

今回は、脂質異常症の基礎知識と治療に使われるお薬について、やさしくご紹介します!


脂質異常症(ししついじょうしょう)ってどんな病気?

脂質異常症とは、血液の中の「脂質(ししつ)」(コレステロールや中性脂肪)が多すぎたり、必要な脂質が少なすぎたりする状態のこと。

特に注目されるのは、「悪玉(LDL)コレステロール」が高くなるケースです。

これを放っておくと、血管が少しずつダメージを受け、動脈硬化(どうみゃくこうか)が進行。

やがて心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中(のうそっちゅう)といった重大な病気につながることも…。


治療の基本は「生活改善+お薬」

脂質異常症(ししついじょうしょう)の治療は、まずは食事や運動の見直しから。

脂っこいものを控えたり、野菜を増やしたり、ウォーキングを習慣にしたり。

でも、それだけでは数値が改善しないことも。

そんな時に登場するのが「スタチン」というお薬です。


「スタチン」ってどんな薬?

スタチンは、肝臓でコレステロールを作る働きをブロックして、悪玉コレステロール(LDL)を下げてくれるお薬。

飲み続けることで、動脈硬化(どうみゃくこうか)の進行を防ぎ、心臓や脳の病気のリスクを下げる効果が期待されています。

👉スタチンには作用の強さによって2種類あります。

  • スタンダードスタチン:やさしい効き目で、まずはここからスタート。
  • ストロングスタチン:しっかり数値を下げたいときに使われる、強めのスタチン。

よく使われるお薬たち

それぞれ特徴があるので、医師が症状や体質に合わせて選んでくれます。

🟢プラバスタチン(メバロチン):スタンダードスタチン
副作用が少なく、のみやすいお薬。細粒タイプもあって、飲み込みにくい方にも◎。

🟢シンバスタチン(リポバス):スタンダードスタチン
飲み合わせに注意が必要な薬もあるけど、効果はしっかり。

🔴ロスバスタチン(クレストール):ストロングスタチン
強力にコレステロールを下げたい方に。口の中で溶けるタイプもあり、飲みやすさも工夫されています。

🔴ピタバスタチン(リバロ):ストロングスタチン

口の中で溶ける錠剤(OD(オーディー)錠)があり、薬を飲み込みづらい方でも服用しやすいのがポイント。

  • リバゼブ配合錠
    →コレステロールの吸収を抑える薬(エゼチミブ)と1つになったお薬もあります。

🔴アトルバスタチン(リピトール:ストロングスタチン

以下のように、他のお薬と合わさった配合錠(はいごうじょう)のバリエーションが豊富です。

  • カデュエット配合錠
    → 血圧を下げる薬(アムロジピン)との組み合わせ。脂質も血圧も両方気になる方に。
  • アトーゼット配合錠
    → コレステロールの吸収を抑える薬(エゼチミブ)との組み合わせ。よりしっかり数値を下げたいときに。

スタチンの注意点

スタチンは比較的安全なお薬ですが、まれに筋肉の異常(横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう))や肝機能障害(かんきのうしょうがい)が起こることがあります。

  • 筋肉痛やしびれ、だるさが続く
  • 尿の色が赤黒っぽい
  • 食欲がなく、体がだるい

こんな症状があるときは、すぐに医師や薬剤師に相談を!


薬の組み合わせに注意が必要!

スタチン系の薬(コレステロールを下げる薬)は、他の薬と一緒に使うと副作用が出やすくなることがあります

特に、「CYP(シップ)酵素」という体内の代謝(たいしゃ)に関わるものを邪魔する薬と一緒に使うと、スタチンの量が体にたまりすぎてしまうことがあります。

その結果として、「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」が起こりやすくなることも。

一方で、逆にCYPを強く働かせてしまう薬(例:リファンピシンやバルビツール酸)と一緒に使うと、スタチンの効き目が弱まることもあります。

🚦スタチンは“トランスポーター”の影響も受ける

スタチンは代謝(たいしゃ)だけでなく、体内の輸送(ゆそう)システムにも影響を受けます。

  • シクロスポリンという免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)は、これらの輸送をブロックしてしまうので注意!
    特にロスバスタチンピタバスタチンとの組み合わせはNG(併用禁忌(へいようきんき))です。

スタチン以外に飲んでいる薬があるときは、必ず医師や薬剤師に相談しましょう!


高齢者や女性の場合は?

高齢の方は複数の病気を抱えていることもあり、薬の飲み合わせには特に注意が必要です。

また、女性は閉経後にコレステロールが上がることも。

生活習慣の改善だけでなく、必要に応じて薬を使うことも検討されます。


脂質異常症(ししついじょうしょう)は「気づいて、対処する」ことが大切

脂質異常症は、静かに体をむしばむ病気。

でも、早めに見つけて生活習慣と薬でコントロールすれば、怖い病気を防ぐことができます。

健康診断で「コレステロールが高い」と言われたら、そのままにせず、一度医師に相談してみましょう!

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