高血圧は、自覚症状が少ないまま進行し、心臓や血管に大きな負担をかけてしまう病気です。
狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)などの重大な病気の原因になることもあり、しっかりとした管理が必要です。
今回は、高血圧の治療薬(降圧薬)にはどんな種類があるのか、それぞれの働きや副作用、飲み方の注意点までをやさしく解説します。
動脈硬化(どうみゃくこうか)と高血圧の関係
高血圧は、血管に常に強い圧力がかかっている状態です。
これが長く続くと、血管の壁が硬くなったり厚くなったりして「動脈硬化(どうみゃくこうか)」を引き起こします。
動脈硬化(どうみゃくこうか)は、狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)といった心臓・血管の病気の原因になることが多いです。
特に、高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・喫煙などの生活習慣があると、動脈硬化(どうみゃくこうか)は進行しやすくなります。
高血圧の治療は「生活改善+薬」
高血圧の治療は、まず生活習慣の見直しから始まります。
具体的には、次のようなことが大切です。
- 塩分(しお)を減らす
- 運動をする
- タバコをやめる
- 太り過ぎを防ぐ
これだけでは血圧が十分に下がらない場合には、「降圧薬(こうあつやく)」による治療が加わります。
薬の選び方や組み合わせ方は人によって異なるため、医師と相談しながら進めていきます。
降圧薬(こうあつやく)の主な種類とその働き
◎ ACE(エース)阻害薬:〜プリル
【例】エナラプリル(レニベース)、イミダプリル(タナトリル)、ペリンドプリル(コバシル)など
【作用】血管を収縮させる「アンジオテンシンⅡ」が作られるのを抑えて、血管を広げます。
【副作用】空咳、のどの違和感、むくみ など
◎ ARB(エーアールビー):〜サルタン
【例】テルミサルタン(ミカルディス)、バルサルタン(ディオバン)、
カンデサルタン(ブロプレス)など
【作用】アンジオテンシンⅡの働きをブロックし、血管を拡張させて血圧を下げます。
【副作用】軽い動悸(どうき)、めまい など
◎ カルシウム拮抗薬
【例】アムロジピン(ノルバスク、アムロジン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)など
【作用】血管の収縮に関わるカルシウムの動きを抑えて、血管を広げます。
【副作用】顔のほてり、むくみ、頭痛、動悸(どうき)、便秘 など
◎ 利尿薬
【例】インダパミド(ナトリックス)、フロセミド(ラシックス)、
トリクロルメチアジド(フルイトラン)など
【作用】体の中の余分な塩分や水分を出して、血圧を下げます。
【副作用】脱水、低カリウム血症、糖尿病、痛風(つうふう) など
◎ α遮断薬
【例】ドキサゾシン(カルデナリン)、ブナゾシン(デタントール)、プラゾシン(ミニプレス)など
【作用】神経のはたらきを弱めて血管を広げます。
【副作用】立ちくらみ、めまい など
◎ β遮断薬
【例】アテノロール(テノーミン)、ビソプロロール(メインテート)、
プロプラノロール(インデラル)など
【作用】心臓の働きをゆるやかにして血圧を下げます。
【副作用】脈が遅くなる、手足の冷え など
薬を飲むときの大切なポイント
- 毎日、決まった時間に飲むこと
- 自己判断で中止しないこと(血圧が下がってもやめない!)
- 飲み忘れた場合は医師の指示をあらかじめ確認
- まとめて飲むのはNG!
薬が効いているかわからないから、と飲むのをやめるとまた血圧が上がってしまうことがあります!
正常な血圧を維持するためにも、副作用を防ぐためにも、「指示通りに飲み続けること」がとても重要です。
手術後も油断しないで!血圧管理の重要性
手術後は、一時的に血圧が下がることがあります。
しかし、もともと高血圧だった方や、手術後に再び血圧が上がる方もいます。
退院後の外来で医師と相談しながら、必要に応じて降圧薬が処方されることもあります。
術後もしばらくは血圧の変動が起こりやすい時期なので、医師の指示に従って慎重に血圧管理を続けることが大切です。
まとめ
高血圧は「知らないうちに進行するサイレントキラー」と呼ばれるほど、注意が必要な病気です。
降圧薬(こうあつやく)にはさまざまな種類があり、それぞれの働きや副作用も異なります。
自分に合った薬を、正しく飲み続けることが、将来の健康につながります。
気になることがあれば、遠慮なく医師や薬剤師に相談してくださいね!
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